FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

今日の司クンアンテナ 14




開口一番、西田が言ったのは、「私は中立の立場です。」などと言う、言い訳ともとれる言葉だった。

無言で眉を上げた司を見ながら、西田も自分で淹れたコーヒーで、舌を潤した。
それから話を始めた。

「彼女に関しては、司様が高校3年の年に失礼ながら、渡米を機に別れられ、音信不通になられてからは、あえて消息を追う事は、していませんでした。道明寺が調査しているなどと、仮に漏れた場合、彼女にも迷惑がかかるからです。
しかし今回、司様からの意向を受け、出来るだけ内密に、身辺のみの調査を行って参りました。調査には、道明寺お抱えの会社を公式には使えませんので、一応道明寺系列ではありますが、私個人のツテのある会社を使いました。信頼は出来る会社です。
もちろん、調査の事は牧野様本人にもまだ内密です。おわかりかと思いますが、牧野様の事を今後どう扱うかは、司様の
意思に大きく左右されます。それから、牧野様の意思にも。」

「なるほどな。まだ再会もしてないが、二人の意思が大事ってワケか。」

司は久しぶりにはっきりと彼女の存在を感じたようで、何だか嬉しかった。報告だけでこれとは、実際に会ったらどうなっちまうんだ?案外、普通か?それともむしろ、ガッカリしたらどうする?その場で回れ右するか?牧野は追ってくるか?「まって、道明寺!」なんてアセッたりしてな?くそ、牧野に追われるなんて嬉しすぎるじゃねぇか。その場で回れ右、やってみてぇ。いやそんな小細工より、早く会って抱きしめてぇな。

牧野との再会シーンを想像し、完全に顔のしまりが無くなっている司を見て、西田は「ゴホン!」と、わざとらしく咳払いした。
これが、クールで無慈悲な孤高の貴公子だの、美しい野獣だのと世間で評される、あの、道明寺司か?

今、牧野つくしの話をしている時だけ、司は年相応の若者に見えた。いつもの氷のような無表情の、実年齢よりもかなり上に見える、冷徹な雰囲気ではなく。

西田は、司のこのような表情を見た事がなかった。いや、牧野つくしと別れて以来、見た事がなかった。つまり、牧野様がいなければ、司はずっと素の自分を覆い隠して生きて行くのだろう。ビジネスの面ではどうだろうか?クールで冷徹な道明寺司と、少しお茶目で温かみのある、道明寺司。人々は最終的に、どちらを選ぶだろうか?
その答えは、出ている気がした。

「司様。喜ぶのは、実際に再会なさってからにして下さい。先ほど、お二人の意思が大事と言いましたが、最も大事なのは司様、あなたご自身の意思です。ここでハッキリさせておきたいのですが、司様は今後、牧野様とどの程度までの関係を、考えておいでですか?同性のような、ただの良い友人関係や、一時的に少し冒険したいだけの遊びの関係をお望みなら、私の役目はここで終わりです。後は、好きなようになさって下さい。ただ…」

「おい待て西田。オレが、ただのオトモダチごっこや、一時的な火遊びをするために、わざわざ牧野を探させたと、オマエはそう思うワケか?」

一瞬、鋭利な刃物のような眼差しを向けられたが、それを平然と受け流して、西田は続けた。

「話は最後までお聞き下さい。むしろ一時的な火遊びなら、どんなに私は楽かと思いますよ。しかし、そうではない。司様は、そうおっしゃりたいのでしょう?また、牧野様も、私が過去に知る限り、一時的な関係が持てるようなお人柄では無いと、私は思います。それで、さっきの話に戻りますが、仮に司様が牧野様と永続的な関係をお望みの場合、これからの対応は、最も難しくなります。特に牧野様の場合、司様との永続的な関係を望む場合、ご自分の人生の自由な選択を、ほとんど全て諦めざるを得ないという事を、お忘れなく。さらにご自分の人生ほとんどを司様の為に捧げたとしても、司様の周囲から好意的に受け入れられるとは限りません。いや、彼女は自分の人生を捧げるだけでなく、ご自分の力で全力で、道明寺家の嫁として入るだけの実力と器がある事を、周囲に示さなければならないのです。それも長い時間をかけて。」

執務室のパソコン画面では、NYで今まさに一分一秒ごとに変化する株価が、無機質に次々と表示されていた。
しかし、司と西田の間に流れる空気だけ、今この時、一瞬止まったような気が、した。

「それだけの覚悟を牧野様に強いることになってもなお、司様は、牧野様に接触なさいますか?報告書を見る限り、牧野様は、ご自分の人生を、ご自分で切り開き、たくましく楽しく生活なさっているようです。それを敢えて壊さず、そっとしておいてあげるのも、私は優しさだと思いますよ。」

「……」

司は再び、コーヒーに口をつけたが、冷めてしまって不味かったのか、すぐに顔をしかめてカップをもどした。

「…西田。オレが、わかっていないと思うか?」

「さあ?どうでしょうね。私は事実起こりそうな現実を、お話したまでです。それを踏まえてどうされるのかは、司様にお任せします。」

「オレの我儘なのは、わかっている。オレが、当たり障りのないどこかの令嬢ーーー例えば、御厨裕美香あたりと結婚すれば、世間的には波風立たず、丸く収まるよな。わかっている。…だが、それが出来るならこんな所で、男二人でこんな話、してないよな。」

確かにそうだと、西田も思った。

「聞いてくれ。オレにある考えがあるんだ。…なあ、西田。もしも、その…そんな事はオレに限って、あるとは思えないが…その、牧野に拒絶されたら、その時はオレも、キッパリ諦める。後に引いたりは、しねぇよ。
だから、一度牧野と自然な形で再会できたらいいと、思ってる。それで自然な形で会って、色々聞いてみてぇんだ。オ、オレの事、まだ覚えてるか、とかよ?
いきなり二人じゃ、牧野もハードル高いだろ?だから、そうだな、1か月だ。どうせオレは、明日からしばらく、仕事で身動きがとれなくなるだろう。だから1か月後に、何とか空き時間を、作ってくれ。その時に、久々に皆を呼んで、ささやかなパーティーと行こうぜ。いつも行ってるような、派手なヤツじゃなく、料理もアイツの好みそうな、庶民的なのがいいな。あの、ベーコンにイソギンチャクみたいなのが巻いてあるヤツとか。そういうの、世間では何てんだ?同窓会、そうだ、同窓会だな。あきらや総二郎、仕方ないから類も呼んでやっか。それから、あの女ども…確か三条と、大河原と、あと一人、牧野の親友とか言うヤツ。それだけ呼べば十分だろ。そいつらを呼んで、久々に、キューコーってヤツに乗っかろうと思ってる。
どうだ、いい考えだろ?」

西田は、話の流れから言って、キューコーに乗っかると言うのは、旧交を温めるではないかと思ったが、司があまりにも、無邪気な嬉しそうな表情を見せるので、何も言わずにいた。

クールで冷徹な氷の貴公子、道明寺司の方が、もしかしてマシなのではないだろうかと、西田が密かに考えていた事など、司は知らなかった。


(続く

セリフが少し長すぎました。わかりにくくてスミマセン( ; ; )
スポンサーサイト

- 2 Comments

チムチム  

※UC※ 様

はじめましてm(_ _)m
ランキングからお越し頂き、大変嬉しいです。ありがとうございます‼︎…しかし、自分でも、どこにあるんだろう?ぐらいの遠い所にあるので、よく発見して下さいました(笑)
司お坊ちゃん、カッコ良くて可愛くて、魅力的ですよね(*^_^*)チムチムもよくフラッとはしますが、やっぱりお坊ちゃんに戻って来ます。
他の作家様のように上手く面白く書けませんが、二人をハッピーにしたいので、超絶マイペースですが、頑張ります。
拍手コメの返信が、以前は出来たのですが、今回なぜか出来ず、代わってこちらに書かせてもらいました。スミマセン。
こちらこそ、よろしくお願いします(*^_^*)

2016/11/02 (Wed) 06:32 | EDIT | REPLY |   

チムチム  

文中の誤字も、正させて頂きました。ありがとうございました(^_^)

2016/11/02 (Wed) 06:40 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment

ランキング

ブログ村ランキング

今日のつくしちゃんウォッチ 6
PREV
NEXT
今日の司クンアンテナ 13
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。