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今日のつくしちゃんウォッチ 7




「2人とも、何か飲む?」

西門総二郎と、美作あきらの2人を部屋へ案内すると、2人はそれぞれ、1人はリビングに置いた正方形のローテーブルの足元のじゅうたんの上、もう一人はその横のソファへと、落ち着いた。
いつもは十分な広さに感じる小さなリビングも、大柄な男性2人が座ると、急に狭苦しく感じられた。

つくしは、2人に飲み物を尋ねはしたが、どうせ2人がいつも飲んでいるような物など、出せるはずもない。
そこで、いつも自分が飲んでいる、スーパーの特売で買ったお茶を、2人に差し出した。(一応抹茶入りの玄米茶だ。)

西門総二郎は、出された緑茶をしばらく、うろんな目で眺めていたが、やがて一口、口に含むと、露骨に顔をしかめた。
「うはっ!何だこれ、泥水か?」

美作あきらも、静かに出された玄米茶を飲んでいたが、湯呑みをテーブルに戻すと、一言
「水道水で茶を淹れると、こんな味になるんだな…。」などと呟いている。

全く、失礼しちゃう!と、つくしは思っていた。
急に押しかけといて、人の家のお茶に文句つけてんじゃないわよ。

…ま、茶道の次期家元に、スーパーのお茶を水道水で淹れて出すのは、きっと自分くらいだろう。美作さんも、高級茶葉に天然水で淹れたお茶しか、きっと飲んだ事ないだろうしね。庶民生活の勉強よ。

「ハイハイ、しっかり勉強させてもらってます。」
「だな。」

つくしの心の中の呟きに、何故か2人が答えている。
やだ、私、本当に呟いてた?
心の中の声、を、時々本当に呟いてしまうのは、つくしの癖だった。
気をつけなくては。


ーーー30分後。

「ズズ…、、、あー、うめぇ。ちょうど腹減ってたんだ。生き返るな。」

来客の2人は、まるでフランス料理のヴィシソワーズでも飲み干すかのように、優雅な所作で、つくしが急ぎ作った味噌汁を、飲み干していた。

ーーあんた達の為に、ミネラルウォーターで作ったわよ。いつもは水道水だけどね。

結局、つくしは自分がお腹が減っていたので、先にちゃちゃっと、夕食を作る事にしたのだ。
2人にも聞かないわけにはいかないので、夕食は?と尋ねると、2人とも食べていない、と言う。そんな訳で今、小さなローテーブルの上には、3人分のご飯と、味噌汁、魚の干物に、作り置きの切り干し大根のお浸しが、並んでいた。
和食と言っても、家庭料理の範疇だが、それを食べる2人のマナーは完璧で美しく、見ているだけで、つくしは惚れぼれしてしまった。
…さすが、お坊ちゃま達だわ。

「おまえ、茶の淹れ方は最悪だけど、料理は美味いよなぁ。」

「ハイハイ、お褒めにあずかり光栄ですよ。」

軽口をたたきながら食事をした。
食後、またお茶を淹れようかと思ったが、ミネラルウォーターにしておいた。

「話の本題に入る前に、あんた達に聞きたいんだけど、あたしのマンション、どうやって調べたのよ?」

もちろん、お金には全く不自由していない彼らのこと、調べる方法はいくらでもあるだろう。
それでも、直接聞いておきたかった。

「どうやってって、なぁ。別に大した事じゃないさ。三条に聞いたんだよ。」

答えたのは、あきらだった。
続いて総二郎も、

「おまえさ、大学に入ってから、急に俺等と疎遠になりやがって、いつの間にか、住所も携帯番もメアドも変えてただろ?ヒデェよな。あんなに濃い高校時代を、俺達と過ごしたってのに、学校が別々になったら、ハイサヨナラかよ。ほんとツレネーよな。」

そう言う西門さんの顔は、本気で寂しそうに見えて、つくしも居たたまれなくなってしまった。

「疎遠にしてたのは、わ、悪かったわよ。でも、桜子や滋さんとは、時々連絡したり、お茶したりしてるわよ?
それに、大学生の時も忙しかったし、あの時は、自分の夢に向かって努力するのに必死だった。今だってそうだよ。小学校教師になる夢は叶ったけど、それで終わりじゃない。生徒達に対する責任もあるし、私なりに、これから目指したい夢もある。…それは、あんた達だって同じでしょ?それぞれの道に向かって、今も努力してる事、桜子や滋さんから聞いてるよ。茶道の道を極めるのも、会社の役員を務めるのも、簡単には出来ない事だと思う。だから、高校の時みたいにすぐ近くにいる訳じゃないけど、あんた達の事は、遠くからでもちゃんと応援してるよ。」

総二郎とあきらは、つくしの熱弁を、ミネラルウォーターをちびちび飲みながら聞いていたが、言葉が途切れると、言った。

「遠くから応援、ねぇ。俺とあきらは、最悪、それでもいいけどよ。どうやらアイツは、それじゃどうも、納得できないみたいだぜ。」

「ア…アイツって?」

言われて何となく、いや、総二郎とあきらが現れた時から、薄々感じてはいた事だった。

「とにかく、その大層な封書、中身を見てみろよ。話はそれからだ。」

…あ!
すっかり忘れていた。
郵便受けに届いた、時代錯誤で大げさな、だが、不思議と惹きつけられる封書。

つくしは、慌ててハサミを取り出すと、封書の端を切り開き、中身を確かめた。

「アイツ…。」

差出人は、やはり、道明寺 司だった。
いや、正確には、道明寺 司の秘書、西田からだった。

封書の中身は、二枚。
一枚は、カード。
表書きと同じ、金の飾り文字で「invitation」、その下に日時と場所、さらにその下に、"ささやかながら、晩餐をご用意しておりますので、是非ご参加下さい。"とのメッセージ。
出欠の確認などは無く、まるで招待者の欠席など考えられていないかのようだった。

もう一枚は、便箋。
西田からだった。
"牧野様お元気ですか。突然このようなお手紙を差し上げて、驚かれた事と思います。司様からの要望で、この度お仲間内での、同窓会を開く事になりました。日頃、司様は激務でなかなかスケジュールを空けられませんので、是非この機会においで頂きたく思います。繰り返しますが、司様よりの、強いご意向です。よろしくお願い申し上げます。"

という内容だった。

つくしはそれを見て、不思議な感覚にとらわれていた。


(続く





☆☆

つくし、同窓会には、参加するのでしょうか?

お話、長くなったので、分けます。
それから、案の定寝落ちしてしまったので、朝のアップとなりました。申し訳ありません↓↓。
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