FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

今日の司クンアンテナ 2



午後6時。
その日の仕事を早々に終えると、パーティーに出席する為、司は会場のホテルに横付けされたリムジンから降りたった。

会場には美しく装った男女ーー比較的若いものから、老年に差し掛かっているものまで、年代は様々だったがーーそれら、いかにも裕福そうな人々が、にこやかに笑いながら、会場内のいたる所で歓談していた。

司は会場内の人々の中では、とても若い部類だった。
しかも、パートナーも連れず、一人ワインを手にし、近付いてくる人々に、最低限の挨拶をするのみだった。
そんな彼を敢えて咎める人もいないのは、皆が彼を、道明寺HDの次期跡取りであり、触れれば切れそうな人格の持ち主であり、彼の怒りを買う事はすなわち、自分の会社なり家族なりの未来を潰す事につながると、はっきり認識していたからだろう。
実際、司は仕事に厳しく、仕事上の約束をまもらなかったり、不興をかったりした相手に対して、何度も報復のような事をしていた。
司を恨んでいる人もきっと多いだろう。

しかし、司にとっては、そんな事はどうでも良かった。

パーティーなんて大嫌いだった。

どのタイミングなら、主催者に失礼にならない程度に帰れるのか…
そればかりを考えていた。

今日も、ひどい頭痛に悩まされた。
少しでも疲れた身体を休めようと目を閉じれば、あの蜃気楼が目に浮かぶ。
幻の彼女は彼を睨んでいたが、その目に憎しみは無く、悪戯っぽく輝く瞳の中に、今にも彼女を抱きしめてしまいそうな熱っぽい目をした自分が、小さく写っていた。

「会いてぇな。」

気づけば、つぶやいていた。

「…。誰に会いたいというのです?」

ハッとして、目を向ければ、目の前に中年の女性が立っていた。


(続く
スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

ランキング

ブログ村ランキング

今日の司クンアンテナ 3
PREV
NEXT
今日の司クンアンテナ 1
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。