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司とつくしの小夜曲 ーアンテナ&ウォッチ完結編 後編 part1 ー

(後編)


「…いえ。私は。牧野さんと道明寺さん、お二人を見て良くわかりました。僕の入る隙なんてないってね。どうかお二人、幸せになって下さい。牧野さんの幸せそうな笑顔が好きなので、ぜひまた職場でも、幸せオーラをお裾分けして下さいね。…え、僕ですか?ははは、完膚なきまでにフラれてしまったので、むしろ気分はスッキリしていますよ。今夜は家に帰って、ひとっ風呂浴びたら、もう休みます。それでは牧野さん、それから道明寺さんに花沢類さん、同窓会、楽しんで下さい。私はひと足お先に失礼します。あ、牧野さん、月曜日には職場で、今まで通り同僚としてよろしくお願いしますね。」

チラッと笑みを見せ、軽く手を上げると、加藤はもう振り返る事無く、出口に向かった。
おそらくかなり無理をしているのだろう。頑なに見える背中は、しかしひどく弱々しく、必死で虚勢を張っているように見えた。

そんな加藤の背中に向かって、つくしには、かける言葉が見当たらなかった。
どんなに可哀そうに見えても、ここで言葉をかける事は、さらに傷をえぐる行為だったから。

しばらく無言で座っていた三人を、西田がこれ見よがしにチラチラ時計を見ながら、待っていた。

「さっ。オレ達も行くぞ。」

司の一言で、三人も席を立った。
つくしは、どうしたものかとまだ迷っていたが、仮にここで自分が「帰る。」と言ったところで、また言い争いになるだけだ。
…まあ、みんなにも会いたいし。滋さんにも、参加を考えてみると約束したしね。
そう思い直し、素直に司の後に続いた。
類は、自分の車で移動するようだ。「じゃ、後でね。」と言い残すと、車を呼び出していた。

荷物は取り敢えず西田に預かってもらい、つくしは司と共に車を待った。
一瞬、リムジンが来るかと身構えたが、西田の運転だからか、来たのは乗用車だった。
乗用車……。見たところ、◯ールスロイスか?
世界の違いに、つくしはクラッとしたが、黙って車に乗り込んだ。
車は全くと言っていいほど音を立てず、滑るようななめらかさで走り出した。

移動の車中では、司が何か言いたげに、つくしを見ていた。
しかしつくしは昼間の疲れもあり、超高級車の乗り心地の良さも手伝って、ついウトウトしてしまった。

そんな、疲れてすぐにコテッと眠ってしまったつくしを見ながら司は、そう言えば学生時代に、同じような状況でイラッとした事があったな、と思い出していた。

大人になった今でも、変わらないつくし。
そんなつくしの無邪気さが、今は愛おしかった。
司はつくしの膝にそっとブランケットを掛け、乗り慣れた、クッション性の良いシートに身を沈めた。


ハッ!
つくしが目を覚ますと、車はすでに道明寺家の敷地内だった。
邸前に車が停車すると、連絡が行っていたのだろう、出迎えのメイドが数人、中から現れた。

「おかえりなさいませ!!お待ちしておりました。大至急、中へお入り下さい。」

メイド達のただならぬ様子に、つくしは、あれっ?と思ったが、久しぶりに皆に会えると思うと、ワクワクした。

「ほら。手、出せ。」

先に車から降りた司が、つくしに手を差し出してきた。

「あ…ありがと。」

つくしは一瞬、躊躇したが、素直に差し出された手をとった。
グイッ!
手をとった瞬間、強い力で引き寄せられ、つくしは司の胸にぶつかってしまった。

「イタッ!」

固い胸に頰をぶつけ、思い切り司の腕の中に飛び込む形になり、つくしは焦った。
見上げると、悪戯っぽく微笑む、黒い瞳があった。
不意打ちの微笑みに、つくしはドギマギしてしまい、慌てて目をそらし、そそくさと車を降りた。
司は握った手を離す事なく、そのまま歩き出した。

仲良く手繋ぎ状態で入口の大扉をくぐる事になってしまい、つくしはかなり気恥ずかしかった。
出来れば、手を離したかったが、司の方はそんな気は全くないらしく、見せつけるように、ガッチリと手を握ったまま、邸内へと進んで行った。

久しぶりで、いきなりではあったが、道明寺邸の中は、つくしに昔の感情を思い出させた。
もう、遠い昔に感じるあの頃。
確かに自分は、道明寺が好きだった。

そして今でも……。

真っ直ぐに、皆が待っているだろう、邸の大広間へ向かおうとした司だったが、先に車を降りて駐車を他の者に任せ、邸の執事達と話をしていた西田に、止められた。

「司様。ちょっとお話がありますので、よろしいですか。」

さっさとつくしを連れて、皆の前に行きたかった司は、ムッとして問い返した。

「今更何の話だ。話なら部屋の中で聞く。早くそこを通せ。」

「実は、予定の変更がありまして。」

つくしの手を掴んだまま、西田の言葉に、苛立たしげに眉を上げた司だったが、西田の後方の廊下から現れた人物を見て、驚いたように固まった。

司と共に、その場に立っていたつくしも、驚きで大きく息を吸い込んだまま、息が継げなかった。

「司さん。お久しぶりね。急きょ帰宅して見れば、今夜はまた、随分と懐かしい方を連れていらっしゃるようね?」

立っていたのは、ホテル メイプル社長兼CEO、世界を飛び回る鉄の女とも呼ばれる、道明寺楓ーーー厳しい表情で二人を見る、司の母だった。



「チッ。あんたか。」

久々の再会だったが、司はあまり心を動かされなかったようだ。
他の人間だったら、それだけで服従してしまいたくなるような、よく切れるナイフを思わせる怜悧な表情で、目を細めた。

ま…まずいわ。

つくしは、状況のまずさを見て取り、出来るだけそっと、司に握られた手を、外した。
しかしその瞬間、今度は肩を抱かれ、司と並んで楓の前に立つはめになってしまった。

ヒイィッ!!

つくしは、いきなりの状況に、心の中で悲鳴を上げた。
そんな司と、つくしの様子を見て、楓も大体の状況を見てとったようだ。

「あなた……。確か、牧野つくしさんだったわね?」

どこかで、戦いのゴングが鳴り響いたような気がした。



(続く


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☆☆☆

長くなりましたので、後編分割します(T_T)
後編の予定ですが、part3 まで続き、プラス、おまけ(パス付き予定)一話。
それで、アンテナ&ウォッチシリーズはひとまず完結予定です。

更新非常に遅いですが、もしもお付き合い頂けたら、チムチム涙を流して喜びます。
part2はまた次の週末明けあたりで…よろしくお願いしますm(_ _)m
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- 4 Comments

みるく  

更新嬉しいです(^∇^)お話がとってもキュンキュン。ありがとうございます!

2017/04/10 (Mon) 02:53 | EDIT | REPLY |   

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管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/04/10 (Mon) 08:44 | EDIT | REPLY |   

チムチム  

みるく 様

更新嬉しいと言ってもらえて、私もすっごく嬉しいです!!
ありがとうございます(T_T)
最近、滞らせていることが多いですが、何とか虫の息ながら、頑張ります(*^_^*)。
応援、有難いです。

2017/04/22 (Sat) 02:38 | EDIT | REPLY |   

チムチム  

※香 様

冬彦さん!
懐かしい響き。
あれ、放映当時はもちろん独身でしたが、一応母になった今考えると、ちょっと見方が違うような。
マザコンに対してちょっと優しくなったというか(笑)
まーでも、奥さん<母 は、ちょっと問題ですよね!
ストーカー司でしょうか?あれ、もう始まってる??
鬼畜な司くんも、期待しています(*^_^*)。え?半ノンフィク??

2017/04/22 (Sat) 02:49 | EDIT | REPLY |   

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