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司とつくしの小夜曲 ーアンテナ&ウォッチ完結編 後編 part3ー

(後編 part3)


つくしは、楓の言葉を聞いて、呆然としていた。

え?

”お好きなようにやってみたら良いのです。ただし、牧野さんには一通りのプログラムを、これからNYでこなしてもらいます。その中にはもちろん、語学のプログラムも入っています。”

ええっ?!

お好きなように?

NYで語学のプログラム?

それはつまり、楓の指示で、楓もしくは道明寺側の用意したプログラムに、自分がこれからNYで取り組まなければならないという意味なのだろうか。

ち、ちちちょっと待って。

流れに流されて道明寺邸まで来てしまったが、自分はNYに行くどころか、まだ道明寺と付き合う事すらも、覚悟が出来ていない。
つくしは今まで自分なりに自分の人生を生きて来たし、これからの人生を考えてもいた。
小学校の教師としての自分に誇りを持ち、やりがいを感じてもいたのだ。

しかし…。

楓の指示に従いNYに行くという事は、いずれ司と結婚し、道明寺家に入り、司の妻としての務めを果たすという事を意味するのだろう。
教師を続けながら、道明寺家の妻としての務めを果たす事も出来るのかも知れないが、それは楓のように、割り切って家庭の事は人に任せ、自分は仕事に邁進するーーー。その場合は、夫と妻というより、ビジネスパートナーに近い関係になるのかも知れなかった。

しかし、果たして自分は、そんな生き方をしたいのだろうか?

つくしは、すぐ隣で自分の肩に手を置いている、道明寺の横顔を見上げた。
司は楓の、思いのほか前向きな言葉を聞き、「ヤリィ!」と喜んでいる。
その端正な横顔には、今は苦悩の跡は見当たらなかった。
だが本当はつくしにも、わかっていた。

無表情な顔の裏側に、道明寺がとても傷つきやすい内面を隠している事。
こんな自分の事を、高校時代に彼に立ち向かった勇敢な存在として忘れず、ずっと大切に思ってくれている事。
自分という支えが無ければ、おそらく彼の心は崩れてしまうかも知れない程、危うい事。

ーーそして、自分も道明寺以外の男性と共に歩む将来は、とても想像出来ない事。

その時ふと司がこちらを向き、つくしと目が合った。
時間にしたら、5秒にも満たない程の一瞬だった。

アイシテル。
アイシテル。
オネガイダ、トオクニイカナイデクレ。
イツモオレノソバニイテ、ヒカリヲソソイデクレ。
ヤットオマエヲツカマエタノダカラ。

つくしは、司の想いがどっと自分に流れてくるのを感じた。
ギュッと自分を抱きしめる、力強い腕。

ああ、自分にはこの手を離す事など、出来はしない。
自分が求めていた腕はきっとこれだったのだと、今さらながら、つくしは気づいた。

「…ります。……ですので。」

「…お待ち…さい。」

その時、部屋の外からガヤガヤと賑やかな音と、何やらメイドの制止するような声が聞こえてきた。

「…いじょうぶ、だいじょうぶ。とって食われたりはしないってー!」

「しっつれいしまーす!!」

バーン!!

やたらと元気な声が聞こえたと思う間もなく、入口扉が大きく開け放たれた。
楓が突然の物音に、眉を顰めて見ている。

入って来たのは、滋だった。
滋は思い切り開けた扉から室内へ入ると、司を見て、つくしを見て、それから楓を見た。

「道明寺のおば様。こんばんは。ご無沙汰しています。」

ニッコリ微笑んで、優雅に一礼した滋は次の瞬間、

「つくしー、会いたかったー!!!」

ドーン!!

思い切り、つくしに抱きついた。
もちろん、司ごと。


(続く


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☆☆☆

少しのびました。次回、最終話です。よろしかったらお付き合い下さい。
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2 Comments

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2017/05/15 (Mon) 07:03 | EDIT | REPLY |   

チムチム  

※香 様

生殺し&カタツムリペースで、ほんとスンマセン(泣)
私が止まっている間は、※香様のお話で楽しませてもらいますのでよろしくですぅ(笑)

2017/05/22 (Mon) 06:15 | EDIT | REPLY |   

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