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相方の道明寺 〈コメディ〉 後編


〈相方の道明寺〉 ー 短編コメディ 後編 ー



『おう。あのな』

司はドヤ顔でつくしに話し始めた。

『英語、フランス語、中国語、ドイツ語、イタリア語を操る俺だが、今、日本語を復習してんだ。特にことわざってヤツか?おまえもちょっと勉強に付き合え。』

『えっ、今?別にええけど。ほな、やってみるわ。えーと〝身から出たサビ〟の意味は?』

『そりゃ、あれだ。食い物の、寿司だろ。刺し身とすし飯の間からはみ出してる、緑色の…。』

『ああ、ワサビね。…ってちゃうわ。』

『違うのか?身から出たワサビ…違うのか。』

『違います。ほな、次。〝石橋を叩いて〟の後に続く言葉は?』

『俺なら間違いなく、叩き壊す!』

『アホか。壊してどうすんねん。』

『どうするって、鉄橋を架けなおすに決まってんだろ。』

『頭、痛なってきた。石橋は叩いて渡ります。ま、ええわ。次。"論より証拠"の意味は?』

『は、ろんよりコショウ?花より団子みたいな意味か?』

『…』


☆☆☆



「ちょっと、道明寺。」

「…んだよ。」

「なんであたしだけ関西弁なのよ。漫才なのにヘンじゃない。」

「別にこれで良くね?」

「良くないです。大体そもそも、あんたネタ帳見てないじゃない。もしかして素でやってる?」

「んなワケあるか。」

「いや、あんた絶対素でやってる気がする。じゃ、今度は本気で答えて見て。捨てる神あれば〜、の先は?』

司はバカにしたようにフンと鼻で笑うと、

「んな簡単な問題には答えられねぇな。お前にとっての俺みたいな存在だろ。」

と言った。

「え、どういう事?」

「類に捨てられたお前を、俺が拾ってやるって事だよ。」

「あたし別に、捨てられてないんですけど。」

つくしは呆れて言い返したが、司はまるで聞いてないようだ。
急に真顔になると、つくしに言った。

「いいか、俺の座右の銘を教えてやる。"If I wasn’t hard,I wouldn’t be alive,If I couldn’t ever be gentle,I wouldn’t deserve to be alive. *1 つまり、タフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きている意味がない。だ。どうだ、カッコイイだろ。」

セリフがカッコ良くキマり、司は満足そうだ。

「…はぁ。そうですか。」

一応、つくしは答えたが、早くもっと練習がしたかった。

「じゃ、もう一度最初から練習やりましょ…」

と言いかけた時。

「おーい、司!ちょっとこっちへ来い。」

何やら後ろでゴソゴソと話をしていた総二郎とあきらが、声をかけた。

「何だよ?人がせっかく練習してるっつうのに。」

「あ、あたしならいいよ。何か用事があるんじゃない?待ってるから、行っておいでよ。」

つくしはネタ帳を見ると、一人でブツブツ練習をし始めた。

「チッ。何だよ?」

司はしぶしぶ、総二郎とあきらの方に移動した。

「こっちこっち。ちょっとここに座ってみ。」

「だから何なんだよ。」

「いいから、いいから。」

二人のニヤニヤ笑いが気になった司だったが、言われた場所に腰を下ろした。

「で。何だ?」

司が総二郎の方を向き、尋ねた時。
こっそりと類の方へ移動したあきらが、類が幸せそうに抱き抱えて眠っている特大のまくらを、一気に取り上げた。
類とあきらが見えている総二郎は、吹き出す寸前だが、司はまだ気づかない。

急にまくらを奪い取られた類はバランスを崩し、とっさに、目の前の物ーーー司の広い背中に、抱きついた。

「うわっ!何だ?」

司は驚いて振り払おうとしたが、類は意外と力強く、離さない。

「離せ!類!」

司は類の腕を離そうとするが、類は寝ぼけているらしく、ますます強くしがみついた。

「行かないで…キミがいないと生きて行けないんだ…ムニャムニャ」
スリスリ。

類は完全に司の広い背中をまくらと勘違いし、頬ずりしている。
それを見て、総二郎とあきらはヒーヒー笑っている。

司はギリッと二人を睨みつけたが、類に羽交い締めされ、身動き取れない。
一人、幸せそうに司の背中に頬ずりして微笑む、類。

「どっ…道明寺?」

司がハッとして見ると、つくしがネタ帳を手から落とし、呆然とこちらを見ている所だった。

「ま、待て、牧野。これは違うんだ。」

慌てて司は弁解し始めたが、類は見た目に似合わない怪力で、司を抱え込んでいる。

「もう、キミなしでは暮らせない…」
スリスリ。

「牧野、違うんだ!」

「道明寺…ごめんなさい。あたし、誤解してたみたい。」

「待て。だから違うんだこれは」

つくしはニコッと笑顔を作ると、後ずさりを始めた。

「大切な二人の時間にお邪魔しちゃって、ごめんね。ネタ合わせは、また今度でいいから。あ、私、別に男同士だからって、ヘンな目で見たりしないから。うん。大丈夫だよ。それじゃ、またね!」

言うだけ言うと、つくしは回れ右をし、カフェテリアから走り去って行った。

「牧野、違うんだ!!!」

司の必死の叫びも虚しく、すでに彼女の姿は無かった。

司は、涙を流しながら必死で笑いを堪えているあきらから、特大まくらを奪い返すと、それを自分と類の間にねじ込み、何とか自由になった。

「総二郎…あきら…許さん」

震える拳を固めた司だったが、総二郎の

「俺達はいつでも受けて立つがよ…今は、つくしちゃんの誤解を解く方が先じゃね?」

との有り難い助言に、

「覚えてろよ!」

と捨てゼリフを残し、とりあえず、つくしが消えた出入り口から、自分も出て行った。

後に残された総二郎、あきら、それから類。

「ちょっとやり過ぎたか?」

「まさかこんなに上手くいくとはな。それにしても類…」

「「熟睡しすぎだろ!!」」


つくしがそれから一ヶ月、司と類の関係を誤解していたとかいなかったとか。
E-1グランプリは、練習不足で下位に甘んじたとかどうとか。

洗練された学生達が多く集う永徳高校の歴史に、また一つF4の伝説が加えられた、のかも知れなかった。



ちゃんちゃん。




〈相方の道明寺 完〉



*1
憧れの作家、レイモンド チャンドラーの名言を借用しました。


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☆☆☆


毎度の事ですが、遅くなりました。
コメディをやってみたくなり、ついやってしまいました。楽しかったです(笑)
次回からはぼちぼち連載に戻ります。

次回のアップは11月20頃?の予定です。あくまで予定ですみません。また覗いて頂けたら嬉しいです(*^_^*)
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- 2 Comments

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2017/11/10 (Fri) 14:07 | EDIT | REPLY |   

チムチム  

※an※aru* 様

だいぶ前にコメント頂いてたのに、読んだだけで長い事お返事しませんでした。ごめんなさい(*_*)
「タフでなければ生きられない…」
は、高倉健主演の、野生の証明シリーズの、名キャッチコピーなんですね!
私はそっちを知りませんでした。高倉健さんが言うと、カッコ良さそう。
しかしそれにしても、最近寒いね!!
こんな時は、好きな二次作家様のお話を読んで、ほっこりしたいなあ。
と、言う事でまた、遊びに行かせてもらいます(*^_^*)

2017/11/21 (Tue) 03:00 | EDIT | REPLY |   

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